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リテラストヨタ五ケ丘 (株)山西
目次
|石綿(アスベスト)含有建材
|法改正の変遷
|アスベストを使用した住宅が及ぼす影響
|一般住宅に使われてきた代表的な建材(レベル3)の例
|有害物質が人体にもたらす影響
|現状と今後の社会的取り組み
|石綿(アスベスト)含有建材
アスベスト含有建材に関する問題は、住宅業界や一般の人々にとって長年の懸念事項でした。
この物質はその耐火性や強度から、20世紀初頭から1970年代まで広く建材として利用されてきました。
しかし、その後、アスベストが健康に有害であることがしだいに明るみになってきたのです。
現在は全面的に使用を禁止されていますが、
これまでにどのような法改正の歴史があったのでしょうか。
年表にまとめましたのでご覧ください。
|法改正の変遷
①1975年「石綿吹き付け作業を原則禁止」
「特定化学物質等障害予防規則」の改正によるもので、同年10月1日から施行されました。石綿をその重量の5%を超えて含有するものが規制の対象となります。
②1987年「石綿対策全国連絡会議が設立」
段階的全面禁止をめざす「石綿製品の規制等に関する法律案」が1992年に国会に提出されましたが、廃案となりました。
③1995年「労働安全衛生法第55条の「製造等禁止」規定による禁止」
「製造等禁止」物質を列挙した労働安全衛生法施行令第16条に、クロシドライト及びアモサイトを追加する改正が、同年4月1日から施行されました。同時に、規制対象が、石綿をその重量の1%を超えて含有するものに拡大されました。
注)『石綿』にはいくつかの定義や種類が存在し、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライトはその中でも発がん性の高い物質だとされています
④2002年
2002年12月12日の「石綿及び同含有製品の代替化等の調査結果の概要」公表に続いて、「石綿の代替化等検討委員会」が設置されました。市場に存在していることがわかった石綿含有製品のうち、3種類(耐熱・電気絶縁板、ジョイントシート・シール材、石綿布・石綿糸等)を除いて禁止するという趣旨のものです。石綿セメント円筒、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、クラッチフェーシング、クラッチライニング、ブレーキパッド、ブレーキライニング、接着剤を禁止する労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成15年政令第457号)が2003年10月16日に公布され、2004年10月1日から施行されました。
⑤2005年
クボタショックの影響があり、「2008年までにアスベスト全面禁止」の方針が表明されました。経済産業省とともに関係業界を集めた「石綿の代替化に関する緊急会議」を招集するとともに、「石綿製品の全面禁止に向けた石綿代替化等検討会」を設置しました。
⑥2006年
2006年1月18日に公表された労働安全衛生法施行令の一部改正(平成18年政令第257号、同年8月2日公布)が同年9月1日から施行されました。禁止措置の適用が除外されるものが列挙されており、規制対象が、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものに拡大されました。列挙されたもの以外はすべて禁止されるという意味で「原則禁止」ではありましたが、厚生労働省はこれを「全面禁止」と称しました。(2006年9・10月号等)
2005年のクボタショックの、従業員が肺がんや中皮腫で死亡していたこと、工場の近隣の住民や従業員の家族が中皮腫を発症・死亡していたことを公表したことが発端となり、アスベストによる健康問題が、それを取り扱う労働者だけでなく多くの国民の問題であることが広く知られ、社会的な問題となりました。アスベストは、細かい繊維状でできた天然の鉱物繊維で、不燃性、耐熱性及び耐腐食性に優れていることから、生活を取り巻く様々な場面において使用されてきました。特に高度経済成長期においては、アスベストが大量に輸入され、アスベスト含有製品が大量に製造されましたが、現在このような時期から中皮腫の平均的な潜伏期間と言われる35年前後が経過しています。このため、アスベストによる健康被害は今後、更に増加すると懸念されており、環境省の推計によると、アスベストが原因とみられる中皮腫及び肺がんを今後発症する人は約8万5千人とされています。
これらの危険性を考慮して2020年6月5日に「大気汚染防止法の一部を改正する法律(改正大気汚染防止法)」が定められました。この法律は、2021年4月から順次施行されています。
⑦2021年「アスベスト規制対象の拡大」
アスベストの規制対象が、レベル1(吹付け石綿)、レベル2(石綿含有保温材、石綿含有断熱材、石綿含有耐火被覆材)だけではなく、レベル3(石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材)にまで拡大され、全ての石綿含有建材が対象となりました。また、レベルごとの作業基準も更新、新設されました。
|アスベストを使用した住宅が及ぼす影響
問題はアスベストを含む建材が数多くの住宅に使用されているという事実です。
普通に住んでいる状態では問題ありませんが、
古い住宅の改装や解体作業に際して、アスベストが放出されるリスクが依然として存在します。
そのため、適切なアスベスト管理と除去手順が重要です。また、現在でも一部の国や地域では
アスベスト含有建材の取り扱いに関する法律や規制が整備されています。
|一般住宅に使われてきた代表的な建材(レベル3)の例
・スレート屋根材(コロニアル、カラーベストと呼ばれることもある)
・外壁サイディング材
|有害物質が人体にもたらす影響
アスベストが人体に及ぼす危険性は、その微細な繊維が吸入された場合に
肺に深刻な損傷を引き起こすことにあります。特に、アスベストに曝露された労働者や住民の中には、
肺がんや中皮腫などの重篤な疾患に苦しむ人々が多く存在します。
このため、多くの国でアスベストの使用が規制され、
特に建築業界では代替材料の開発や使用が進められています。
ここで重要なのは、
①潜伏期間が35年前後という長期にわたり、実際に症状が現れた時には重篤な状態になっていることもある点。
②実際に発症する可能性が高いのは、『住まう人』ではなく『住まいを作る職人さん』だという点です。
これから人口減少が加速する日本において、職人の数も当然減少傾向にあります。
限られた『造り手』の作業環境をより良いものにしていくのも
業界にとっての必須事項ではないでしょうか。
|現状と今後の社会的取り組み
今後は、既存のアスベスト含有建材の除去や代替材料への切り替えがますます重要になるでしょう。
これにはコストや技術的な課題が伴いますが、長期的な健康へのリスクを考えれば、
その努力は必要不可欠です。
また、新しい住宅建材の開発や普及も、アスベスト問題の解決に向けた重要な一環となります。
近年では、既存の屋根や外壁を解体せずに新たな材料でカバーする工法が流行しています。
解体費用を一旦抑えて改修工事を進められるので検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、強く問題意識を持っているお客様に中には、
「屋根をきれいにしたいが、アスベスト問題を次世代に残したくない」といった理由で
アスベスト建材を全撤去してからの葺き替えをご依頼下さる方もいらっしゃいます。
この問題は、今後ますます広がりを見せてくることでしょう。
まずは、ご自宅の図面をしっかりと確認していただければと思います。
※正直なところ、図面では判別できないケースも多いです(>_<)
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